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なめくじ長屋奇考録
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白取千夏雄『全身編集者』、初版1000部が予約で完売、増刷決定のお知らせ&オマケ

2019/05/12 21:03|カテゴリなしTB:0CM:0
ありがとうございます。
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白取千夏雄『全身編集者』、初版1000部が予約だけで完売する(5/12の20時時点で残15です)ので、発売前に増刷決定しました。
クレジット決済・コンビニ払いはこちら (オススメ)
銀行振込・代引きはこちら (注文から発送まで10日くらいかかるのでオススメしません)


とりあえず500部増刷します。印刷上がりが今月末で、発送センターでの検品などもあるので、明日以降にご注文の方へのお届けは6/8くらいかな、という感じになります。
初版分の委託販売先の書店は↓↓です。5/25くらいから店頭に並ぶ予定です。

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予約開始時の記事にも書きましたが、一般流通しない書籍なので、読まれた方・気になった方はSNSなどでの宣伝や乾燥お願いできるとうれしいです。
「ガロ」当時のことは深く話せませんが、取材やインタビューなども受け付けてはいますのでご連絡いただければと思います。
よろしくお願いします



以下、オマケです。
うまく挿入できる部分が無くて本には収録しきれなかったんですが、「白取さんがいかにも白取さんっぽい口調で白取さんっぽいことを言ってる」原稿の一部です。
ご注文いただいた方、こういう人間の自伝です。お届けまでもう少し掛かりますが、期待してお待ちください。


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作家さんが何よりも一番で、独創性みたいなものに惚れ込んで、この人の本を出したいと思ったら出す。「ガロ」は川崎ゆきおさんの単行本とか、根本敬さんや蛭子能収さんの最初の本もそうだけど、世間が「なんじゃこりゃ」と思うような作品でも作家に惚れ込んで出してきた。
「ガロ」は世間一般にとっての辺境ではあったけど、漫画界ではむしろ辺境なんかではなくて、アートもイラストも写真も演劇も全部取り込んだ「最先端の面白いもの」だったんだよ。『カムイ伝』に代表されるような、ある意味で真っ当な、ストレートな名作がありつつ、その一方でさっきから名前を出して悪いんだけど川崎ゆきおさんの『うらぶれ夜風』みたいなのも載せちゃう度量の大きさがあった。「編集長が認めるマイナーなもの」という狭い視野でやってない。そういう風に考えなきゃダメになる。雑誌なんだから雑多なものが載っているわけで、編集者とか出版社としては、やってて面白いとか、ワクワクドキドキするとか、そういう心が揺さぶられるものがないってのは、やり甲斐がないからさ。

「おおかみ書房」の一発目の三条先生の本なんて、この先どうなるか見えなかった。もちろん本を作る上での完成形は見えるんだけど、こういう出版形態で果たしてどうなるのかというね。それでも「この一冊を面白くしよう」ということに全身全霊を傾ける。初心者だからこの程度で勘弁してくださいというのではなく、いい本を作るための限界をもうけずに頑張った。あれが成功した時は本当に「エクスタシー」だったね。あの時は本のカバーを取った時のみんなの嬌声がTwitterで伝わってきて、その痛快さったらなかったよ。

本を出したいから出す、編集したいからする。好きな作家に好きなように描いていただくというのを、俺は「ガロ」時代ずっと貫いてやってきた。担当した作家さんたち、津野裕子さんにしても、最後に担当になった古屋兎丸さんにしても、「もう少しこう描いたら売れるよ」って、そういうことは一度も言わなかった。作家が気持ちよく、自分の表現をできるようにするのが編集なんだよ。
もちろん、それをちゃんと売ってあげられるのが一番で、その意味では今のおおかみ書房は本当に面白いと思う。
今まで「おおかみ書房」が出してきた漫画や書籍はすべて、そういう哲学が根底にあるんだよね。こういうこと言うと叩かれそうだけど、それが編集者のあるべき姿だと思うよ。お金をもらってやる「編集屋」としての仕事はいくらでもある。お金と引き換えにやりたくない仕事をやるというね。
でも、やりたいようにやって赤字が出ないくらいってのはさ、世間的には商売としてトントンなんてやっても仕方ないと思われるかもしれないけど、やりたいことをやってるっていうのはお金よりも遥かに大きい価値があるでしょ。そういう意味で「おおかみ書房」は面白いし、手伝うというか一緒にやろうという気持ちになったからね。

やっぱり面白いのはさ、通販メインで既存の出版流通に頼ってなくて、書店に置くのも宣伝くらいにしか考えてなくて。そういうスタイルで今まで出した本を全部売り切って、増刷が掛かってる本もある。それって痛快だよね。で、そういう面白いことに関われるのって俺にとっても面白いじゃない?だからこんな重病人になっていても、やってしまうわけでね。
で、俺たちは自費出版だからクオリティが低くてもいいという仕事はしてないつもり。大手だったら「こんなところに手を掛けないでしょ」というところにこだわれる強みがある。それで儲けも出るし、プロの人から見ても驚くようなクオリティにできる。これが理想かどうかは俺には分からないけど、編集したいものを編集するって気持ちは間違いなく「発露」としては正しいよね。

根本敬さんの担当も『生きる』以降の『怪人無礼講ララバイ』とか『豚小屋発犬小屋行き』とか、ずっと俺がやってたけど、根本さんが喫茶店で嬉しそうに「第五福竜丸が動いてさ、漁師がセンズリこいててさ、発射した精子が放射線を浴びて大きくなるんだよね。そのまま精子が大きくなってさ、人間の子供みたいに小学校通ったりしてさ」なんて話すのをホウホウって聞きつつ「それ面白じゃないですか」「名札とかはどうするんですかね?精子だとそのまま付けたら痛いし」とか聞いたり、そんなバカな話をずーっと1時間とかするわけですよ。そういうことを気持ちよくさせてあげるのが編集者なわけでね。

実際にそうして出来上がった『怪人無礼講ララバイ』って面白いでしょ? ちゃんと哀愁とかペーソスとかあるし、あと風刺なんかも感じるでしょ? まあ、本当はないんだけどね、勝手に読者が感じてくれるだけで(笑)。
まあそういう勘違いでもストレートでもいいんだけど、夢を見させるのが商売なわけでさ。そういうのが好きなの。

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